2015年11月のテレビ番組で、日本共産党の志位和夫委員長は、平和安全法制の不要論を主張する中で、核・ミサイル開発を繰り返す北朝鮮に対して、「リアルな危険があるのではない」と言い放ちました。しかし、その約2カ月後に北朝鮮が「水爆実験を行った」と発表しました。
志位氏の発言内容が甘い認識であることは言うまでもありませんが、誰もが〝脅威〟と感じられる北朝鮮の行動に、「リアルな危険がない」と本当に思っているのでしょうか?
日本共産党と朝鮮労働党は〝兄弟党〟だった
日本共産党は、1922年に非合法組織として結成。同年11月に行われた共産主義政党による国際組織「共産主義インターナショナル(コミンテルン)」の大会で、同組織の日本支部として承認されました。
コミンテルンには、ソ連や朝鮮労働党の前身である組織も加入していました。
各国支部の共産主義者は、コミンテルン本部があるモスクワからの指令と資金提供を受けて、ソ連のための工作やスパイ活動を行うほか、自国の政治体制を内部から混乱させて、いずれ自国でも革命を起こそうと考えていたのです。
いわば、日本共産党と朝鮮労働党は、共産主義のもとに結ばれた〝兄弟党〟でした。
1950年代から80年代前半にかけて、在日朝鮮人らに対する北朝鮮帰国事業について、日本共産党は北朝鮮を「地上の楽園」と大賛美して帰国熱をあおり、同事業を陰で主導しました。
しかし、実際には「凍土の地獄」と呼ばれ、生活も成り立たない荒野に帰国者を送った結果、多くの人の人生を壊していったのです。共産党はこれらの結果責任ついて、反省の弁すら表明していません。
今でも北朝鮮では、朝鮮労働党が国内すべての組織活動を指導し、多くの幹部を粛正するなど暴力を使った独裁政権が続けられ、核・ミサイル開発も行われていますが、そんな朝鮮労働党と〝兄弟党〟だった日本共産党に、北朝鮮の横暴を真剣に糾弾することなどできないのです。
こうしたことを考えると、志位氏の「北朝鮮にリアルな危険はない」という発言は、リアルな危険があると言えないのが、日本共産党の本音なのかもしれません。